みんな夏休み(なつやすみ)はどうだった?楽しい(たのしい)思い出(おもいで)はいっぱいできたかな?
2学期(がっき)もしっかりとがんばってね。 それじゃ、さっそくはじめまーす。
今回(こんかい)は「心理的時間(しんりてきじかん)」のお話よ。

     

みんなあそんだり、楽しい(たのしい)ことをしている時の時間って、短く(みじかく)感じる(かんじる)し、それと反対(はんたい)にあんまりやりたくない勉強(べんきょう)や、つまらないことをしている時の時間は長く(ながく)感じるわよね。時計ではかれば同じ1時間でも、短く感じたり、長く感じたりするのはなぜって思った(おもった)ことあるでしょ。このことについて、ある心理学者(しんりがくしゃ/人の行動(こうどう)や、かんがえかたなどをけんきゅうする学問)がおもしろい公式(こうしき)を作った(つくった)のよ。

それは時間=仕事(しごと)のりょう÷力(ちから)というものなの。
おもしろいことをやっている時は、そのことに夢中(むちゅう)になっているので、力(ちから)をそこに集中(しゅうちゅう)しているから、つまり大きな(おおきな)力を使って(つかって)いるから時間は短くなって、つまらないことをやっている時は、力をひっこめて、つまり力が小さくなるから時間は長くなるということになるわけ、わかる? この公式を使うとほかにもいろいろな時間の感じかたがわかるわよ。たとえば、人をまつ時間、この場合(ばあい)はまつことで、自分がやりたいと思っていることができずに、自分の力がおさえられているということになるの。だから力が小さくなって、時間が長く感じるようになるのね。すきな人といっしょにいる時間がものすごく短く感じられるのは、その反対になるわけね。

この他(ほか)にも、時間を仕事のりょうと力の関係(かんけい)としてみるのではなく、その時間の中でどのぐらいのことを経験(けいけん)したかということでみる心理学者もいるのよ。 同じ(おなじ)時間の中でたくさんの変化(へんか)がある場合(ばあい)には、時間は長く感じられ、変化が少ない(すくない)場合には時間は短く感じられるというものなの。ちょうど、夏休みが終わった(おわった)ばかりだから、夏休みをれいにすると、毎日(まいにち)毎日いろいろなことをしたり、いろいろな場所にあそびに行ったり(いったり)と充実(じゅうじつ)した夏休みをすごした場合には、夏休みは長く感じられるし、ただぼーっとして過ごして(すごして)しまった夏休みは、あっというまに終わってしまったように感じられるってこと。
みんなの夏休みはどっちかな。

さて、今回はこの「心理的時間(しんりてきじかん)」に関係(かんけい)した「時のはてな星」におくってくれた質問(しつもん)にも、お答え(こたえ)しますね。

●「年齢(ねんれい)を重ねる(かさねる)毎(ごと)に1日というより1週間が早く(はやく)感じます。これは感覚的(かんかくてき)なものなのかそれとも物理的(ぶつりてき)に裏付け(うらづけ)されたものなのか。何処(どこか)で聞いたか読んだか覚え(おぼえ)はないのですが1日を分子(ぶんし)、これまで生きてきた日数(にっすう)を分母(ぶんぼ)にした分数(ぶんすう)がその人の1日の感覚になり2才の子供の分母は730でその父親(ちちおや)が30歳であれば10950が分母になり生まれてからの積み重ねで分子の1日の感じが変わる為(ため)、年をとるほど時間の経つ(たつ)のが早い。子供(こども)に説明(せつめい)する前に専門家(せんもんか)としての意見を(いけん)聞かせてください。」( 後藤愼太郎さん/会社員50才)

後藤さんの質問は、たぶん上で説明(せつめい)した2番目(ばんめ)の見方(みかた)になるんじゃないかしら。子供のうちは見る(みる)こと、聞く(きく)こと、体験(たいけん)することのすべてがしんせんで、同じ(おなじ)時間の中でもすごくたくさんのことを経験しているから、変化(へんか)がおおくて、時間が長く感じられて、大人(おとな)になるとたくさんのことを経験しても、それはいままでに経験したことのあることといっしょのことだから、たくさんのことを経験したことにならない、つまり変化がすくなくて、時間が短く感じられるということなんじゃないのかしら。
それから時間の計算式(じかんのけいさんしき)は、人類学者(じんるいがくしゃ)のエドワード・ホールさんという人がいっているものなの。2才の子供の1年は、2年のうちの1年だから2分の1、30才の大人の1年は30年のうちの1年だからおおよそ30分の1にしかならないというものなのよ。

今回はもりだくさんの内容(ないよう)でした。それでは、今回はここまで。
なんどもいってるけど、秋になってもみんな規則(きそく)正しい(ただしい)生活(せいかつ)をしなくちゃだめよ。わかった?

参考文献「時間と人間」村上陽一郎編 滝沢武久(東京大学出版会)

2000年9月号