さて、2001年3月からはじまった「有名人の残した時の言葉(ゆうめいじんののこしたときのことば)」はいかがだったかな。前回は日本(にほん)で初めて(はじめて)ノーベル賞(しょう)を受賞(じゅしょう)した湯川秀樹博士(ゆかわひできはかせ)のすばらしい言葉を紹介(しょうかい)させていただいたのだが、しょくんはどのように感じてくれたかのう。
言葉は「言霊(ことだま)」といって、そこには、その言葉を言った(いった)人間(にんげん)の魂(たましい)がこもっていると言われてる。心(こころ)して読んで(よんで)ほしいのである。フム。
今回(こんかい)ご紹介する言葉はアメリカ合衆国(がっしゅうこく)の歴史(れきし)の中で「もっとも偉大(いだい)な大統領(だいとうりょう)」と形容(けいよう/いわれている)されるエイブラハム・リンカーンの残した、時にかかわる言葉を紹介するのである。
言葉を紹介する前に、リンカーンとはどんな人物(じんぶつ)だったのか。
そこからいってみるのである。
リンカーンは1809年にケンタッキー州(しゅう)の丸太小屋(まるたごや)で生まれた。彼はまずしい生活(せいかつ)をしながら、いろいろな場所(ばしょ)に移り(うつり)住んで(すんで)いたために、きちんとした学校(がっこう)での勉強(べんきょう)はほとんどできなかったのである。
わずか9才の時にお母さんを亡くし(なくし)、継母(ままはは/義理のお母さん)に育てられたのである。よく少女マンガなどでは継母というのは、悪役(あくやく/わるもの)としてえがかれることが多い(おおい)のだが、リンカーンの継母はとてもやさしく、愛情(あいじょう)のある人であったのである。
その継母のおかげもあって、リンカーンは自分で勉強をしてイリノイ州の議会(ぎかい)の議員(ぎいん)をつとめながら弁護士(べんごし)の資格(しかく)もとってしまったのである。なんともすごい努力家(どりょくか)であるなぁ。
やがて1860年に大統領に選ばれ(えらばれ)、彼はそのリーダーシップを発揮(はっき)し、南北戦争(なんぼくせんそう)では北軍(ほくぐん)を勝利(しょうり)に導いた(みちびいた)のである。
その南北戦争中の1863年にリンカーンがおこなった「奴隷解放宣言(どれいかいほうせんげん)」は、国内(こくない)だけではなく世界中(せかいじゅう)から支持(しじ)され、1864年には大統領に再選(さいせん)されているのである。
しょくんは「アメリカンドリーム」という言葉を知って(しって)いるかな?
この言葉は「自由の国(じゆうのくに)アメリカでは、努力(どりょく)をすれば必ず(かならず)成功(せいこう)するチャンスがある。誰(だれ)もが成功者(せいこうしゃ)になれるのだ。」というアメリカに暮らす(くらす)人々の誰もが持っている希望(きぼう)であり夢である。なぜこんなことをお話するのかというと、丸太小屋(まるたごや)で生まれ、大統領にまでなったリンカーンは、まさにアメリカンドリームを実現(じつげん)した人物(じんぶつ)として語られることが多いからなのである。フム
。
さて、それではそのリンカーンが残した言葉を紹介しよう。
その言葉とは「事をなしとげる秘訣は、一時に、ただ一事をなすにあり(ことをなしとげるひけつは、いちじに、ただいちじをなすにあり)」である。
「何かなしとげたい事がある時には、その1つの事を集中(しゅうちゅう)してやることが、いちばんの近道(ちかみち)である」という意味なのである。リンカーンほどの大きな(おおきな)事をなしとげた人物(じんぶつ)であっても一度(いちど)に多くの事はできないという人間の能力(のうりょく)の限界(げんかい)を知っているというのがすごいことであるなぁ。
逆(ぎゃく)に言えば、自分自身(じぶんじしん)の能力(のうりょく)の限界(げんかい)を知っているからこそ、1つの事に集中(しゅうちゅう)し、そこに時間と力をそそぐことで、多くのすぐれた事をなしとげることができたとも言えるのである。
しょくんもこの言葉をしっかりと心にきざみ、リンカーンのような優れた(すぐれた)人物になってほしいのである。
フムフム。
ここからはちょっと豆知識(まめちしき)になるが、リンカーンはアメリカを特許(とっきょ)の登録数(とうろくすう)で世界一(せかいいち)にした人物でもある。1865年の北軍の勝利によってアメリカは工業化(こうぎょうか)にはずみがつき、大統領であったリンカーンは自分自身(じぶんじしん)でも特許をとってしまうほど産業(さんぎょう)をさかんにすることに力を入れたのである。そのおかげでアメリカは、19世紀の半ば(なかば)には特許の登録数で世界一になったのである。たぶんこの産業をさかんにすると決めた(きめた)時にもリンカーンは、その1つのことに集中してやったのであろうなぁ。フム。
さて、今回の言葉からしょくんはなにを感じて(かんじ)くれたかな?
この言葉のもつ意味について、お父さん、お母さん、先生とも話してみてくれたまえ。
それでは、次回(じかい)、またここで、お会い(おあい)しよう。きりつ!れい!フム。
2001年4月号
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