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今回(こんかい)は「クオーツ時計」について学んで(まなんで)いこうかのう。
この「時の歴史(ときのれきし)」のページも、「日時計(ひどけい)」からはじまって「時計の発展(はってん)」の歴史を順(じゅん)におってきたわけじゃが、とうとう現在(げんざい)もっとも使われ(つかわれて)ている「クォーツ時計」まできたわけじゃ。ここまで、10ヶ月、みなもよくこの授業(じゅぎょう)についてきてくれてありがとうじゃ。では、さっそく始めることにしよう。
さまざまな技術(ぎじゅつ)の進歩(しんぽ)によって完成(かんせい)され、一般(いっぱん)の人たちにも買える(かえる)ような値段(ねだん)にまでなった機械式時計(きかいしきどけい)ではあったが、まだまだ問題(もんだい)があったのじゃ。それは、たとえどんな名人(めいじん)が調整(ちょうせい)しても1日に数秒(すうびょう)の狂い(くるい)が生じて(しょうじて)しまうということなのじゃ。
そこで、もっともっと正確(せいかく)な時計を作る(つくる)にはどうしたらよいのかということが、当然(とうぜん)のことながらでてくるのじゃな。まず最初(さいしょ)に考えられたのが、電磁石(でんじしゃく)を使って、機械式時計と同じ(おなじ)テンプを振動(しんどう)させる「テンプ式電気時計(テンプしきでんきどけい)」だったのじゃ。しかしながら、この時計は振動数(しんどうすう)が結局(けっきょく)のところ機械式時計と同じだったため、正確さも当然、機械式時計と同じ程度(ていど)のものだったのじゃ。
正確さをよりアップさせるためには、より高い振動数(しんどうすう)をもったものが必要(ひつよう)なのじゃな。そこで注目(ちゅうもく)されたのが「音叉(おんさ)」なのじゃ。
音叉というのは、イラストのような形(かたち)をしたもので、楽器(がっき)などのチューニングに使われたりするものなのじゃ。みんな音楽室(おんがくしつ)で見たことがあるんじゃないのかな。
この音叉を使ってアメリカのブローバ社(しゃ)がつくったのが「アキュトロン」と言われる時計で、精度(せいど)は1日に±2秒(ぷらすまいなす2びょう)というところまで上がったのじゃ。
しかしこの時計は衝撃(しょうげき)に弱く(よわく)、とても実用(じつよう)で使えるものではなかったのじゃ。
さてさて、新しいものを作るには、さまざまな失敗(しっぱい)もあるものじゃのう。そしてもっと高精度の時計を作るために注目されたのが、「水晶(すいしょう)」だったのじゃ。水晶に電気を通すと高い振動数でふるえるということが発見(はっけん)されたのが1880年。有名(ゆうめい)なキュリー夫人(ふじん)の夫(おっと)であるピエール・キュリーとそのお兄さんのジャック・キュリーによってだっだのじゃ。そして、1927年にはアメリカのマリソンと言う人が水晶クロックを開発(かいはつ)、しかしながらこの水晶クロックは、大きさが1つの部屋(へや)ぐらいあり、とても実用的(じつようてき)なものとは言えなかったのじゃ。
そして、1958年に日本の精工舎(現セイコークロック株式会社)が放送局用(ほうそうきょくよう)の水晶時計をつくったのじゃ。これで実用(じつよう)レベルにまでなったとは言え、まだまだタンスほどの大きさがあり、とてもとても持って歩けるものではなかったのじゃな。
そこで、小型化(こがたか)のためのさまざまな改良(かいりょう)がすすめられ、今の置き時計(おきどけい)の大きさにまでなり、この高精度(こうせいど)のクオーツクロックは、東京(とうきょう)オリンピックの計時(けいじ/時間をはかること)に使われたり、新幹線(しんかんせん)の時計に採用(さいよう)されたりとしたわけなのじゃな。そして、1969年12月25日、ついに世界初(せかいはつ)の市販(しはん)クォーツ腕時計「セイコークオーツアストロン35SQ」が発売(はつばい)されたのじゃ。
当時(とうじ)の発売価格(はつばいかかく)は45万円(まんえん)、2年後の1971年には17万5000円のものも発売されたが、ものすごい高級品(こうきゅうひん)だったのだな。しかしながら、その当時世界にむけて出されたセイコーの広告(こうこく)には「いつかすべての時計が、この方式(ほうしき)でつくられることになるだろう」という自信(じしん)にあふれたキャッチフレーズが書かれて(かかれて)いたんじゃ。そして、それは本当のことになったのじゃな。
さて、下にあるのは、最初(さいしょ)の「セイコークオーツアストロン35SQ」に入っていた水晶振動子(すいしょうしんどうし)から、現在(げんざい)の水晶振動子にいたるまでのものなのじゃ。最初の頃は、すべて手作業(てさぎょう)で行っていて月に10個しかできなかったという水晶振動子作りも、今では最新(さいしん)技術により、1時間に数万個という単位(たんい)で作られるようになり、クオーツ腕時計が、発売当時からは考えられないような安い値段(ねだん)でみんなが買えるようになったのじゃ。

さて、今回(こんかい)はここまでじゃ。
そうそう2001年3月の「時の資料館」ではこの「クオーツ時計の仕組み」をとりあげておるのじゃ。
ぜひそちらも合わせて読んで(よんで)いただきたいのじゃ。次回(じかい)はなにが出てくるか。
みんな楽しみにまっててくれたまえ。
2001年3月号