今回(こんかい)も元気(げんき)にはじめるぞぉ。注目(ちゅうもく)!
今回は「冒険と腕時計(ぼうけんとうでどけい)」についてだぞぉ。
さて、スポーツに使われる(つかわれる)腕時計にはその使い方(かた)によっていくつかにわけられていて、セイコーの腕時計の中でも、スポーツウォッチは、スキューバマスター、ランドマスター、フライトマスターという3つのモデルがあるんだぞぉ。
カンタンに、それぞれのモデルを使い方でわけていくと、スキューバマスターは、もちろん潜水(せんすい)をするダイバーにために使われるもの、ランドマスターは、登山(とざん)や極地(きょくち/南極や北極)の自然条件(しぜんじょうけん)のきびしい場所(ばしょ)で使われるもの、そしてフライトマスターは、パイロットなど飛行(ひこう)のプロに使われるもの、となるんだぞぉ。
今回はその3つのマスターの中(なか)から、「冒険と腕時計」というテーマなので
「セイコーランドマスター」について話(はなし)をしていくぞぉ。
みんな準備(じゅんび)はいいかぁ?
「セイコーランドマスター」は、きびしい環境条件(かんきょうじょうけん)に耐える(たえる)性能(せいのう)と、高い(たかい)信頼性(しんらいせい)を持った(もった)まさに本格的(ほんかくてき)な冒険家(ぼうけんか)のための腕時計なんだぞ。
この「セイコーランドマスター」の開発(かいはつ)には、何人(なんにん)かの有名(ゆうめい)な冒険家(ぼうけんか)がかかわっているんだぞぉ。
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その冒険家の1人である大場満郎(おおばみつろう)さんと、ランドマスターのことについて話していこう。
冒険家の大場さんは、南極(なんきょく)と北極(ほっきょく)の単独徒歩横断(たんどくとほおうだん)を成功(せいこう)させた人で、彼(かれ)がその冒険に行く(いく)時に腕につけている時計が「セイコーランドマスター」なんだぞぉ。
彼と「セイコーランドマスター」との出会い(であい)は1994年のこと。
北極海(ほっきょくかい)の単独徒歩横断にはじめてチャレンジしたときだったんだ。
その前(まえ)に行ったロシア北極海(ほっきょくかい)単独歩行の調査旅行(ちょうさりょこう)に「セイコーランドマスター」を使っていた彼は、本番(ほんばん)の冒険にのぞむ前に、セイコーに対して(たいして)、以下(いか)のような要望(ようぼう)をだしたんだぞぉ。 |
1) |
方位(ほうい)がわかりやすいように24時針(じしん)をつけてほしい。
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2) |
たとえ1グラムでもいいから、軽く(かるく)してほしい。 |
3) |
時計を見ていると元気(げんき)が出てくるような時計にしてほしい。 |
まず1)の「方位がわかりやすいように24時針をつけてほしい」について、その要望がどんな意味(いみ)を持つのかを説明(せつめい)するぞぉ。
正確な方角(ほうがく)を知る(しる)ためには、方位磁石(ほういじしゃく)があれば大丈夫(だいじょうぶ)なのだが、北極では地球(ちきゅう)の地軸(ちじく)が23度50分かたむいているため、極点(きょくてん)に近づく(ちかづく)につれて、誤差(ごさ)が大きく(おおきく)なってしまう。そのためにアナログ時計の文字盤(もじばん)と針(はり)を使って(つかって)方角を出すのが一番(いちばん)いいということなんだぞぉ。
さて、どういうやり方で方角を知るのか?
まず一般(いっぱん)の12時間表示(ひょうじ)の時計で話をしていくぞぉ。
きみの近くにアナログの腕時計があったらいっしょにやってみてくれよなぁ。
短い(みじかい)針を太陽(たいよう)にむけると、文字盤の12時の位置(いち)との中間(ちゅうかん)の方角が真南(まみなみ)になるんだぞぉ。
だから、北極点を目指す(めざす)には、その反対方向(はんたいほうこう)である真北(まきた)に進めば(すすめば)いいんだぞぉ。それが24時間針であれば、時針を太陽に向けた時、時計の12時(24時)方向がそのまま真北になるんだぞぉ。わかりやすいよなぁ。 |
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つづいて、2)の「たとえ1グラムでもいいから、軽くしてほしい」は、大場氏の北極海の単独徒歩横断に必要な装備(そうび)は全部(ぜんぶ)で、130キロ。これをソリにのせて自分の力(ちから)でひっぱっていくのだから、腕につける時計とは言え、軽い方がいいに決まって(きまって)いるよなぁ。 |
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さて、3)の「時計を見ていると元気が出てくるような時計にしてほしい」は、3ヶ月間(3かげつ)たった1人での冒険なので、楽しいこともなく、つらいことが多い(おおい)毎日(まいにち)の中で、時計を見るたびに元気が出てくるようなデザインにして欲しい(ほしい)ということなんだ。たしかに3ヶ月間もたった1人では、そう考えるのも当然(とうぜん)だよなぁ。
さて、この大場さんの要望をかなえた時計が、この「セイコースポーツ・ランドマスター大場満郎北極点スペシャル」なんだぞぉ。
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1)の24時間針は、歯車(はぐるま)を変更(へんこう)、大きくて見やすい赤色(せきしょく/あかのいろ)の針に。2)の軽さについては、カレンダー機能(きのう)をはずし、時計の素材(そざい)を当時(とうじ)開発中(かいはつちゅう)だったチタンに変更、これで45グラムの軽量化(けいりょうか)を実現(じつげん)したんだぞぉ。さらに、3)のデザインは、大場さんのキャラクターである白熊(しろくま)の足跡(あしあと)のマーキング、そして、出発地点(しゅっぱつちてん)のアルティチェスキー岬(みさき)から、北極点をとおって、カナダのエルズメア島(とう)までの道のり(みちのり)を地図(ちず)にして描いた(えがいた)んだぞぉ。
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この「セイコースポーツ・ランドマスター大場満郎北極点スペシャル」を持って(もって)、大場さんは94年、95年、96年とチャレンジをつづけ、1997年6月についに、北極海1877キロの単独歩行に成功(せいこう)したんだぞぉ。
すごいことだなぁ。
ということで、今回はここまで。
この「冒険と腕時計の話」は、しばらくシリーズとしてみんなにお話したいと思う(おもう)ぞぉ。
次回(じかい)も楽しみにまっててくれよなぁ。
参考文献
THE SEIKO BOOK」グッズプレススペシャル
「歴史の陰に時計あり」織田一朗
2001年2月号